ゆったりと流れる川を臨む大きなウッドデッキと槙の風呂
どこをとっても木の香り薫る空間と大容量の書庫のある家：三重郡sn様邸

街の中を流れる川の堤防の上という立地から、南側には滔々と流れる川の流れ、河川敷の自然、川にかかる鉄道の鉄橋を眺める事ができます。河川敷に向かって持ち出した大きなウッドデッキや一段下りた広場では川の景色を眺めながら休日にはのんびりと過ごす事ができます。同じく南面に配置された浴室には木の香り漂う高野槙の浴槽を据え、室内の内装を桧張りとしています。お仕事で疲れて帰ってきた時は浴槽に身を沈めｎ様の好きな鉄道を眺めながらゆっくりとした時間を満喫できる事でしょう。

お仕事柄、大量の書籍や資料をお持ちのn様ですが、ご希望はそれらの書籍を保管しておく書庫が欲しいとの事でした。プランニングにあたり、行き止まりの納戸のような書庫に仕舞いっぱなしにさせることなく、書籍も一つのインテリアとみなして住宅を貫く廊下を兼用させ、住宅の中に開架書庫をつくる、という配置としました。これからも増え続ける書籍を収納するため、廊下だけでなく吹抜の手摺を兼ねた本棚など、住宅のあちこちに収蔵できるようにしています。

n様のご実家をリフォーム工事された設計士さんとの打ち合わせで、ご実家同様、室内の内装はほとんどすべてパインの羽目板やフローリングで統一。一見山小屋風の屋内と南側の自然豊かな眺望も相まって、自宅にいながら別荘地に来ているような感覚をおぼえる空間となりました。

MHA.Case16

［延床面積］120.13㎡（約36.34坪）／［工法］木造軸組工法／［断熱］基礎内:押出法ポリスチレンフォーム　基礎外:ビーズ法ポリスチレンフォーム　外壁内:高性能グラスウール　外壁外:高性能グラスウール　屋根:高性能グラスウール
［換気］第1種機械換気（熱交換換気扇）／［屋根・外壁］屋根:平板瓦葺き　外壁:窯業系サイディング張り／［開口部］アルミ樹脂複合サッシ／［内装］床:パイン材　内壁:パイン材、漆喰塗　天井:パイン材／［UA値］0.50［ηA値］1.8［C値］0.7

長期優良住宅　[耐震等級]3／[耐風等級]2

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建築後記

『ところ変われば品変わる』　普段は私達営業とお客様とでお打合せをし、自分の経験則からプランや仕様をご提案するのですが、今回は設計士のtさんがn様とのお打合せを担当してくださいました。結果、普段自身では発想の出ないような間取り、仕様などを提案される事があります。これまで何度か別々の設計士さんの物件の施工を担当しましたが、（営業職の筆者がナゼ現場を担当しているかはさておき）その度に『こういう考え方もあるのか』『こんなディテールや仕様、施工法、道具は初めて見た』と言った発見があります。慣れない考え方、施工手順、発注方法にふれ、工事中は難儀する事もありますが、終わってみれば確かに自らの血肉となる経験をさせてもらったと感じることだらけです。狭い見識に留まらず、何事も経験と実践あるのみだと改めて（文字通り）身に沁みます。

今回の現場は若手大工k保木君が親方の元を離れ、初めて一人で担当した記念すべき住宅です。一度も見には来ませんでしたが、普段は厳しいw辺棟梁が現場にいる私のところへ別件の用事のフリをして電話をかけてきて、話の端に『k保木の仕事ぶりはどうや？』と、さも心配げに聞いてきた、というのはここだけの話です。