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連休の間に熊本へ行ってみました。
熊本空港は市街地よりも今回震源地の益城町に近いところにあり、空港内にも壁のヒビ割れなど、被害があちこち見てとれます。
熊本市内では住宅の外壁が剥落したり、屋根瓦がずれ落ちたりとした被害があちこちにありました。
報道でも見られましたが、熊本城も甚大な被害を受けました。
再建には10年かかるとも、莫大な費用がかかるとも言われていますが・・・
熊本城が復旧されたのはおそらく西南戦争の後くらいと考えますが、これだけの被害はそれ以降はじめてのものではないでしょうか。
城から見えるホテルの外壁面。
窓と窓の間に×型の割れが見られます。典型的な『せん断破壊』の跡です。
市内中心部で募集していたボランティアの行列。
連休ということもあり、全国からたくさんの方が来られたようです。
私も何か作業を手伝いたかったのですが、ちょうどこの日は雨天のため、室内作業限定で募集人数に限りがあり、目前で締切られてしまいました。ここまで来て無念ではありましたが、行列に並んでおられる方に任せて、別の方面からの支援を、と思います。
熊本駅の外装カーテンウォールのガラスも揺れにより、割れてしまっています。
震源の益城町へやってきました。ここでは市内よりも更に被害は甚大で、道路の割れ、隆起や法面の崩落などが見られました。
建物については報道のとおりでしたが、現地に入ると当然ながらもっと凄惨な有様でした。(建物写真の掲載は差し控えます)
印象としては、昔ながらの本家普請の住宅や、1階に店舗のある住宅などは2階部分が比較的無傷に近い状態で1階部分のみ潰れて倒れてしまっているケースが多いということです。
約20年前の阪神大震災の時にも指摘されていたことですが、1階部分に続き間の座敷や店舗といった比較的広い空間をとりたいために、極端に壁量を少なくしている、あるいは壁量に偏りが生じているということが原因として考えられます。
それに対し、2階部分は固定荷重、積載荷重が当然1階より少ない上に、個室が多いため壁量を比較的多く取ることができ、風圧力や地震力などの水平荷重に対しても有利である、ということが言えます。
もう一つは築年数が比較的新しいと見て取れる住宅も同様に崩壊していたことです。
今回の地震では大規模な初期微動(P波)の後にほぼ同じ大きさの本震(主要動:S波)が来た事が特徴として挙げられています。阪神大震災以降の耐震基準では数百年に一度の規模の地震でも『倒壊しない』事、とされ、。阪神クラスの揺れが来ても、建物は無傷とまでは言わなくとも倒壊を免れ、住民の生命を守ることを第一の目的にされています。
今回は阪神よりも地震エネルギーは若干小さかったのかもしれませんが、そのクラスの揺れが立て続けに2回(またはそれ以上)起こったことになり、最初の揺れの時点で『倒壊しない』という住宅の耐力を使い果たし、本震の時に力尽きて倒れてしまったものと考えられます。
被災者の方の詳細は分かりませんが、願わくば建築士として、最初の揺れで『倒壊しなかった』住宅が住民の避難の時間を生み、たとえ数人でも救った生命があったのだと信じたいものです。
今回の被災地熊本は筆者が学生時代を過ごした街でもあり、見慣れた景色(特に熊本城)の惨状には少なからずショックを覚えました。市内にある母校のキャンパス内には100年ほど前から建っている校舎もありますが、こちらは瓦が少し落ちる程度の被害ですんだ模様です。熊本に残った同級生たちもひとまずは無事なようで安心しましたが、いまだ余震が収まらない状況で心配は尽きません。
今後も報道に注目すると共に来るべき東海地震(こちらも心配です)に備えなければと思います。
熊本地震で被災された方に、心よりお見舞い申し上げます。