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先日、フランスのノートルダム大聖堂が大火災に見舞われました。
フランスのマクロン大統領が再建についての目標を掲げた時、私の頭の中に漠然とあったのは火災前の姿を忠実に再現する光景でした。しかし、再建コンペへ向けて続々と発表されている再建案を見ると、火災前の忠実な再現とは全く異なります。
様々なコンセプトを元に、斬新なデザイン案が幾つも出ています。
屋上緑化案や、美しいステンドガラスで覆う案。また建築当時のゴシック建築の理想を現在の技術で再建造する案等。
目からウロコが落ちる思いでした。
忠実な再現こそが唯一の道だと、自分の視野が狭くなっていた事に気付かされたからです。
元々ノートルダム大聖堂の姿は時代と共に増改築が行われ、各々の時代の個性が反映された結果が現代の姿でした。そうであるならば、この機会に21世紀前半なりの解釈を加えることこそ、形に囚われない本来の意味での伝統に沿った行動なのかもしれません。
もちろん、忠実な再現を望む声もあるでしょう。最終的にはそうなるかもしれません。しかし、様々な提案を一度フラットに検討するという工程を挟む事は、素晴らしいことだと思います。
ミノワの主要な施工エリアである愛知県では現在、名古屋城の天守閣の再建を巡って色々と揉めています。しかしその議論の中身はどうでしょうか。木造で再現するのか否か。エレベーターの設置はどうするのか。石垣や遺構はどうするのか。こういった重要ではありながらも小さな議論ばかりで、名古屋市のランドスケープとしての名古屋城をどう生かし、デザインして行くのかという大きな視点が欠けているように思います。
名城公園や名古屋城の庭園やお堀まで含めて、もっと言えばその周辺の都市計画までも含めて、魅力的な都市を目指して行って欲しいと願います。