家づくりブログ

20/11/24

設計作業

  • 住宅新築計画の営業時にお客様と面談で打合せをし、間取りや使いたい材料などを検討しながら意匠設計の作業は進んでいきますが、プランが徐々に固まりつつあるその裏側では、その他の部分の設計も同時進行しています。

    ・構造の設計

       

    お打合せはだいたい1/100スケールの図面を元に進行していきますが、その間取りプランが果たして構造的に成立するのか、地震や台風に対して頑丈か、平面プランでは柱しか見えないものの床を支える梁はどのようにどの向きに架けるのか、それらを補強する事によって内装に影響は無いのか、といったような事を検討しては間取りに戻り、間取りができては構造の検討、といった繰り返し作業を行います。だんだん慣れてくると、リビングダイニングなどの間取りを考えながら梁の架け方も同時に想定しながら進める事ができてきます。

       

    今の時代は外観、内観のイメージや構造のイメージを作成できるソフトがあるので、演出したい空間と構造が同時に成立するのか確認しながら作業を進めます。お打合せの際も『ここに壁が必要になります』など説得力を持って説明をする事ができます。

     

    ・温熱環境の設計

       

    住宅内の温熱環境を快適なものにするために、ミノワでは高気密高断熱の工法を採用しています。ただ単に断熱材を敷設するだけでなく、合理的にかつ基準を満足するように敷設する必要があります。工法的には現場の棟梁と監督にお願いするところが大きいですが、基準を満たすかどうかは設計時の計算によります。室内の熱は基礎コンクリート、外壁、屋根、サッシなどの開口部を伝って温度の低い方へ流出する性質があります。それらの部位にどれだけの性能、容量の断熱材を投入すればどれだけの性能を得られるかを計算するソフトに数値記入し、基準を満たすかどうかのチェックを行います。先ほどの構造設計と同様、断熱材の敷設が構造材の邪魔にならないか、内装に影響を及ぼさないかも加味しながら材料寸法を決定する事もあり、どうしても整合が取れないときは、上記の構造設計、あるいは平面、立面プランの検討に立ち返って修正を加える事もあります。

    また、これらの断熱材の寸法と構造の寸法、天井の高さが要因となる『天井裏』の空間の寸法によって設備の配管、配線(設備の設計)に影響を与えないかどうかという事のチェックも非常に重要です。

     

    ・基礎の設計

       

    上記の構造の設計の結果を受け止め、力を地盤に伝達するのが基礎コンクリートの設計です。木造住宅の中で唯一木材以外の材料を使用する構造です。ミノワで設計する際には強度の事を考え、建築基準法よりややオーバースペックになるように設計します。こちらも計算にのっとって基礎断面の鉄筋の量、コンクリートの断面寸法を決定していき、基礎全体の形を決めていきます。構造強度だけでなく施工性も考慮する必要があります。また、温熱環境設計において基礎断熱工法を採用しているため、床下空間と言えど、空気の移動がスムーズになるように立上りの立つ場所も考慮しながら描いていきます。

     

    ・細部の設計

       

    住宅の見栄えを左右する一番肝となる各部位の詳細を決める図面を作成します。これらの図面を、材料をあと3㎜大きくするのか小さくするのか、迷いに迷いながら描き進めていきます。お客様のご希望や内観のイメージ、ご予算など(あとは棟梁の性格とか)が内容に鋭敏に直結してくる非常に重要な作図作業です。20世紀、かの大家の有名な言葉『ディテールに神が宿る』、まさに言い得て妙の感があります。これら細部がどうしてもキレイに収まらない時は上記同様、構造、温熱、はては平面プランまで強引に戻って検討し直す事もあります。

     

    ひとくちに営業・設計業務と言えども敷地に対する建物の配置計画、平面プラン、立面デザインなどの完成後も目に見える部分の検討に加え、このような構造強度、温熱環境、基礎コンクリート、細部の収まりなど、さらには予算、建築基準法及び関係法令などの目に見えない様々な要因を一度に成立させて一棟の住宅ができ上っていきます。こうしてみると非常にややこしくて難解さ満点ですが、一見して他と違いが分からないようでも、こうやって住宅の出来寸法をコントロールできるのが設計作業の醍醐味ではないでしょうか。工事が進んで想像していた形がだんだん姿を現してくると、これらの図面を描いた効果を実感できるようになってきます。