夏を涼しく快適に過ごす家づくりの工夫
「毎日暑いね」と言うのが挨拶になってしまったかのように、今年も連日の猛暑日が続いています。皆さまのご自宅は夏を快適に過ごせていますでしょうか。今回は、これから家づくりをお考えの方に向けて、暑い季節でも涼しく過ごせる住まいの工夫についてご紹介します。
夏対策が重要な理由
ミノワが取り組む高性能な断熱住宅は、夏の暑さにも、冬の寒さにも強い住宅です。ただし、高気密高断熱住宅が北海道や、東北の寒い地域から普及したこともあり、当初は冬の寒さ対策が中心的な課題となっていました。
しかし、ミノワの施工エリアである、愛知県や岐阜県等の中部地方では、夏の暑さ対策も冬同様に重要となります。特に、2010年代になり、住宅の温熱環境をシミュレーションするソフトに利用する気象データ(アメダスデータ)が入れ替わると、冬の暖房エネルギーよりも、夏場の冷房エネルギーの方が、エネルギー負荷が高い傾向が発生しました(愛知県や岐阜県美濃地方の場合)。それまでは肌で感じていた温暖化の影響が、数値の上でも確かめられたわけです。こうして、中部地方の住宅にとっては、夏対策は冬対策以上に重要な課題となりました。
断熱性能が夏の暑さも左右する
「断熱」というと冬の寒さ対策というイメージを持たれる方が多いのですが、実は夏の暑さ対策にも大きく関わっています。断熱性能の高い住宅は、外の熱気を室内に伝えにくく、逆にエアコンで冷やした室内の涼しさを外に逃がしにくいという特長があります。壁や天井、床の断熱材だけでなく、窓の性能も重要なポイントです。窓は住宅の中でも熱の出入りが最も大きい部分のため、複層ガラスや樹脂サッシを採用することで、冷房効率を大きく高めることができます。断熱に関しては、夏も冬も共通の対策で対応可能です。
日射をコントロールする工夫
断熱と合わせて考えたいのが「日射遮蔽」です。ここが、夏対策と冬対策で大きく異なるポイントとなります。建物の断熱性能を高めても、日射による熱エネルギーの侵入を防ぐことは出来ません。そのため、住宅の窓から入ってくる夏の強い日差しを、室内に入れる前に防ぐことが基本的な考え方となります。
具体的には、南面の窓には軒や庇を深めに設計して、直射日光が入りにくくすることが重要です。ここで少し夏対策から離れますが、南面の軒は深めに設計しても、冬場にはしっかりと太陽光を取り込むことが出来ます。これは、夏と冬の太陽高度の違いを利用しているからです。
建物の南面の日射は、軒である程度防ぐことが出来ますが、東面や西面の日射は、軒で防ぐことは出来ません。建物の西面や東面の窓面積は、極力減らすことが理想です。敷地や間取りの都合上、東面や西面に窓を備える場合は、外付けのシェードやよしずを設置する、といった方法がお勧めです。この場合、窓の内側で日射を防いでも、室内に日射エネルギーは入ってしまうので、窓の外側で遮蔽するのがポイントです。
近年、軒のない住宅が増えていますが、高温で雨も多いという日本の気象条件を考えると、軒は必要不可欠です。
風の通り道は必要か?
従来、教科書的な省エネ設計では、風の通り道も重視されてきました。これは、深夜から早朝の気温が下がる時間帯の夜間通風を利用することで、家を涼しくするという知恵でした。しかし、近年の中部地方の夏は、朝まで30度を超えているのが日常となってきました。こうなると、夜間通風を利用する時間帯はありません。特に深夜は湿度が高いため、下手に外部通風を取り入れると、逆に冷房負荷を増やしてしまいます。標高の高い地域や、北日本では今でも有効な設計手法だと思いますが、中部地方の夏対策としては、夜間通風は重要ではありません。
もちろん、春や秋の、気候の良い時期は窓を開けて、気持ちの良い風を取り入れて生活出来ますので、通風を考えた設計自体は悪いことではありません。
換気はどうする?
現在の日本の住宅は、24時間換気扇の設置が義務付けられています。また、人が生活する以上、室内の空気は汚れていくので、その意味でも新鮮な空気を外部から取り込むことは重要です。換気扇については様々な考え方がありますが、快適性だけを考えるのであれば、熱交換タイプの換気扇を設置するのが有利なのは間違いありません。これは、室内から捨てる空気と、外部から取り込む新鮮な空気との間で、熱エネルギーを移動させることで、少しでも省エネにする仕組みです。
エアコンの使い方も重要
「エアコンは必要な時だけ使う方が節約になる」と思われている方も多いのですが、高気密高断熱住宅の場合はやや事情が異なります。断熱性能や気密性能が高い住宅では、室内の温度を一定に保ったまま運転を続けた方が、かえって消費電力を抑えられるケースが多くあります。エアコンが最も電力を消費するのは、設定温度に到達するまでの立ち上がりの時間です。頻繁にオン・オフを繰り返すと、その都度この立ち上がりの電力を消費することになり、効率が悪くなってしまいます。
つけっぱなし運転には、家じゅうの温度差を減らせるというメリットもあります。リビングは涼しいのに廊下や2階は暑い、といった温度のムラが少なくなり、快適性が上がるだけでなく、急激な温度変化によるヒートショックのリスクを下げることにもつながります。ミノワでは、居室ごとにエアコンを設置する個別空調は基本的にお勧めしていません。1階と2階、それぞれの共有スペースに計画的にエアコンを配置し、少ない台数で家じゅうを冷暖房する方法をご提案しています。高気密高断熱の性能があってこそ実現できる方法で、台数を絞れる分、初期費用やメンテナンスの手間も抑えられます。
植栽や外構でつくる涼しさ
建物本体だけでなく、外構や植栽も夏の暑さ対策に役立ちます。窓の外にゴーヤなどのグリーンカーテンを設置したり、庭に落葉樹を植えて夏は日陰、冬は日差しを取り込めるようにしたりすることで、季節に応じた快適な環境をつくることができます。
おわりに
夏を快適に過ごせる住まいは、断熱・日射遮蔽・換気・空調の使い方・外構といった複数の要素の組み合わせで実現します。新築やリフォームをご検討の際は、こうしたポイントを踏まえてプランをご提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。
