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鬼の札

2月3日、節分。 暦の上では明日は立春ですが、まだまだ凍えるような日々が続きます。 昨年に引き続き、今年も梅が咲くのは遅れるかもしれません。

前回、柊鰯(ひいらぎいわし)の話をしましたが、今日はその続きとして、私の地元、白川町黒川や岐阜県東濃地方に伝わる、少し変わった節分の風習「鬼札取り」(鬼めくり)のお話をしようと思います。

この地域では、節分の日になると、玄関や勝手口、窓といった家の開口部に、手作りのお札を掲げる風習があります。短冊状の紙に、上から順に「鬼の顔」、その下に「点(・)」を12~13個、そして一番下に星形の「五芒星」を描きます。 仕上げに、鬼の顔の上の余白にヒイラギの小枝を刺して完成です。

岐阜県東濃地方に伝わる節分の風習「鬼めくり」「鬼ふだ取り」のお札。短冊に、鬼の顔、ドット、五芒星を描く。

子供の頃は、これを作るのが楽しみでした。 絵を描くのが好きだったので、なるべく上手に、怖い鬼を描こうと、真剣に鉛筆を握りしめていたのを覚えています。

一見すると少し不思議なこのお札ですが、実は鬼が家に入ってこないようにするための、地域独特の「魔除け」です。 その由来は諸説あるのですが、メジャーな説は、鬼が点を数えてる間に、夜が明けてしまうというものです。どうやら、鬼は数を数えるのが苦手なようです。

しかし、私が気に入っている由来はこんなお話でした。(子供の頃のことなので、記憶はあいまいですが)
「12個の点は、12ヶ月を表している。つまり、『この家にはすでに12人の鬼がいて(1月から12月まで)、もう満員ですよ』と示すことで、新しい鬼が入ってくるのを防いでいるんだ」

力ずくで追い払うのではなく、「満員です」と知恵を絞って帰ってもらう。 なんともユニークなセキュリティシステムです。私がこの説を推す理由は、点(・)の数が、閏年には変わるからです。地域によって13が12になったり、12が13になったりするようですが、月と何らかの関連があるように私には思えるのです。

さて、この風習にはまだ続きがあります。 翌日の立春の早朝、近所の子供たちが早起きをして、各家に刺されたこの鬼札を集めて回るのです。 夜明け前のうす暗やみの中、兄弟や友達と競って札を集めたものでした。
ただ、残念なことに、最近はこの鬼札を見かけることも少なくなりました。 私の家でも、いつの頃からかやらなくなってしまいました。 時代の流れと言えばそれまでですが、少し寂しくもあります。

家を建てる時、私たちは分厚い断熱材や、強固な構造で、寒さや災害といった「外敵」からご家族を守ろうとします。 家の本質は昔も今もシェルターです。かつての人々が、お札一枚に「家族を守りたい」という切実な願いを込めたように、私たちも現代の技術で、その想いを形にしています。

追記

帰宅したところ、玄関に鬼札がありました。

岐阜県東濃地方に伝わる、節分の魔除け。鬼札
執筆者
社長
藤井拓巳

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