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雨水と梅の花

暦の上では「雨水(うすい)」。空から降るものが雪から雨へと変わり、大地が緩み始める季節です。

先日、地鎮祭のために名古屋市内の現場へ足を運びました。白川町ではまだ蕾も小さく堅い梅の木が、名古屋市ではすでに花をほころばせていました。神事の最中、庭の隅で静かに咲く白い花を目にし、季節が確実に春へと進んでいることを肌で感じました。

ここ白川町でも、底冷えのする朝はまだ続きますが、日差しの力強さは確実に増しています。メダカを飼っている、庭の池の厚い氷も溶けました。「雨水」とは良く言ったものです。

「水が変わる」というのは、自然界にとっては草木が芽吹く準備の始まりですが、私たち家づくりの人間にとっては、少し身構える現象でもあります。寒暖差が激しくなるこの時期、家の中で頻繁に発生するのが「結露」だからです。

朝起きると、窓ガラスがびっしょりと濡れている。

カーテンのカビや、サッシの汚れに悩まされる。

そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。結露は、決して不思議な現象ではなく、単純な物理現象です。冷たい飲み物を入れたグラスに水滴がつくのと同じ理屈で、外気でキンキンに冷やされた窓ガラスや壁に、室内の暖かく湿った空気が触れることで、空気中の水分が行き場を失い、水滴となって現れます。

15年ほど前、住宅業界の一部で「中気密(ちゅうきみつ)」という言葉が使われていた時期がありました。

「高気密にしすぎると、家が息苦しくなる」

「程よく隙間があったほうが、家が呼吸できて健康にいい」

そんな理屈です。

当時、それを聞いた私は、「家が呼吸するというのは、単に隙間風が入ってくる欠陥住宅を、言葉で美化しているだけではないか」と、なぜそんな理屈がまかり通るのか、不思議でなりませんでした。耳障りの良い言葉でごまかしても、物理現象は嘘をつきません。隙間があれば、熱は逃げ、湿気は壁の中に入り込みます。

「中くらいの気密」とは、言い換えれば「中途半端な隙間がある」ということに他なりません。中途半端に気密性が高まりつつも断熱が追いついていない家こそ、実は壁の中で起きる「内部結露」のリスクが高く、柱や土台を腐らせる原因となります。

あれから15年。さすがに今は「中気密」を売りにする声は聞かなくなりました。断熱や気密が、快適さだけでなく、家の寿命や住む人の健康に直結することが、ようやく定着しました。

特別なことはできなくとも、物理の法則と正しい施工で解決することはできます。私たちがこだわる「高気密・高断熱」は、単に部屋を暖かくするためだけではなく、この物理現象をコントロールするための技術でもあります。

窓や壁の表面温度を室温に近づけ、外気の影響を受けにくい環境を保つこと。それが、家を長持ちさせ、ご家族の健康を守るための、地味ですが確実な「物理と工夫」です。

執筆者
社長
藤井拓巳

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