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完成写真集

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『ERINA.Ladder』

  • 狭小地の中に生まれた豊かな住空間
    様々な建築制限を克服してかたちづくられた3階建て住宅:名古屋市yoyo様邸

    市内でも屈指の住宅街として知られる覚王山にほど近く、都心ながらも自然豊かなこの土地を購入されるところから計画がスタートしました。

    敷地も前面道路も極端に狭く、工事作業も困難を極める事が予想されましたが、その前段階の設計作業においても、都心の住宅地という事もあり様々な建築制限がかかっている地域につき、プランニングに多くの制約をもたらしました。

    狭小地につき空間を上部へと求めるため木造3階建てとした時に要求される『許容応力度計算』、『準防火地域』による構造や仕上の制限、『高度地区』による高さの制限、『地区計画』による配置、外観の規制など。

    『準防火地域内の木造3階建て住宅』につき『準耐火建築物』とする事が求められ、室内の内装仕上げ材が規制されます。本来ならば構造材を化粧で表したり羽目板を張ったりとミノワが得意とする木質の内部空間を表現したいところですが一切の木材を表す事ができないという内容です。

    しかし、この木質空間を何とか実現したいとのyoyo様のご希望もあり、国土交通省告示によるサッシの開口部制限を行う事で『準延焼防止建築物』として申請、各箇所で自由に木質インテリアを施す事ができました。

    『高度地区』による高さ制限においても、各階の高さをギリギリまで微調整。主要な居室とその他の空間とのメリハリをつけ、上記準延焼防止建築物によって構造躯体表しができる事を利用して階高を極限まで抑えたつくりとしました。

    結果、コンパクトながらLDKは木表しのインテリアで広がりを感じられ、外部に対して閉じたいところは閉じ開きたいところは開く、ご近隣の樹木等の借景にも恵まれ、非常に印象的な空間となりました。

    MHA.Case18


    [延床面積]125.01㎡(約37.82坪)/[工法]木造軸組工法

    [断熱]基礎内:押出法ポリスチレンフォーム 外壁:高性能グラスウール 屋根:高性能グラスウール

    [換気]第1種機械換気

    [屋根・外壁]屋根:ガルバリウム鋼板葺き 外壁:ガルバリウム鋼板角波張り、窯業系サイディング張り、鉄鋼モルタル下地漆喰塗

    [開口部]複合サッシ

    [内装]床:メープル材、パイン材 内壁:エコクロス貼、杉材 天井:エコクロス貼、杉材

    [UA値]0.50[ηA値]1.6[C値]0.4

    長期優良住宅 [耐震等級]3/[耐風等級]2 ※許容応力度設計

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    建築後記 『ERINA.Ladder』

    1年半ほど前に開催された完成見学会(『INandOUT』稲沢市mi様邸)に当時はまだ計画をスタートされたばかりのyoyo様がご来場されました。mi様邸には小さいお子さんが喜んで遊べる仕掛けがあちらこちらに、yoyo様の一人娘ERIちゃんも目を輝かせて体感していました。特にリビングから2階へと掛かるハシゴがお気に入りの様子で、ひとしきり見学を終えた後に『うちにもハシゴが欲しい』と。そんな話を聞いてしまった以上はこの筆者、『必ずつくってみせる!』と息巻いて計画に取り組みました。様々な制限を加味しながらプランを進め、リビングからERIちゃんの部屋へと続く『ヒミツの通路』としてのハシゴが完成しました。(実は『ヒミツの通路』とする事にも『準防火地域の三階建て』と『高度地区』の制限が少々関係してくるのです。)

    完成見学会にやってきたERIちゃんにさっそく上ってもらい、他のご来場者にもお手本を見せてもらいました。『早く引っ越して友達を呼んで遊びたい』と、喜んでもらえて頑張ってつくった甲斐があったというものです。

    ERIちゃんは苦も無くスルスルと上っていきます。私も1~2段ほど上ってみますが桟が細いためか裸足では足の裏が結構痛く、だいぶ胃腸が弱いと見えます。

      

    昨年のk保木棟梁に続き若手大工h谷川君が親方の元を離れて一人で担当した記念すべき住宅です。(狭小地で作業車の駐車スペースも限られるため、ハイ●ースに乗っている棟梁が多い中で唯一軽バンに乗っているh谷川君にお願いした、というのが真相ですが)先輩のk保木棟梁も手伝いに来てくれましたが、二人ともさすがは親方の元で厳しい修行をしてきただけあって、各所の収まりも非常にキレイでした。特に階段の手摺の造作は、どこからビスを打って固定しているのかが分からないような見事な加工。親方のk棟梁が『ずっと棟梁として飯を喰っていけるように』とh谷川君の腕に仕込んだ技術が早くも活かされた事例となりました。